題しらず | 読人知らず | |||
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歌の意味は、昔を思い出す時、ホトトギスは声を紅に染めるようにけたたましく鳴く、ということで、「ときは」は 「常磐」と 「時は」を掛けている。同じ出だしを持つ歌に、495番の 「岩つつじ」を使った恋歌がある。 「ときは山」は現在の京都府右京区御室双岡町の雙ヶ岡(ならびがおか)あたりのことだと言われている。 "ふりいでて" の 「ふり出づ」は紅を水に溶かして布を染めること。 "唐紅" でそのイメージをサポートしている。また言葉としては 「思ひ出づ」「ふり出づ」と二つの 「出づ」を含んで、前に前に出ようとしているような感じで、158番の紀秋岑の「声ふりたてて 鳴く郭公」がおとなしく見えるほどである。紅のイメージは、ホトトギスが血を吐くように鳴く、ということからの発想だが、どうも前半と後半のつなぎが唐突すぎるような感じがする。最後の 「鳴く」を 「泣く」と見て全体がそこにかかり、「私はホトトギスのようにひどく泣く」という恋歌と見た方が自然に思える。 「思ひ出づ」とその名詞である 「思ひ出(おもひで・おもひいで)」いう言葉とを使った歌には次のようなものがある。 |
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「紅」を詠った歌の一覧は 723番の歌のページを参照。 |
( 2001/11/28 ) (改 2004/03/09 ) |
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