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       題しらず 読人知らず  
537   
   あふ坂の  関に流るる  岩清水  言はで心に  思ひこそすれ
          
        "岩清水" の「岩(いは)」から "言はで" の 「いは」を導いて、口には出さずに思っているのだけれど、という恋歌である。 「あふ坂の関」は現在の滋賀県大津市逢坂一丁目あたり。

  「あふ坂の関の岩清水」は、忠岑が古歌を献じた時に添えた次の歌でも使われているので、かなり有名だったものか。 「あふ坂」を詠った歌の一覧は 374番の歌のページを参照。

 
1004   
   君が代に  あふ坂山の    岩清水   こ隠れたりと  思ひけるかな
     
        また 「岩−言は」を使った歌としては、次の読人知らずの 「岩つつじ」の歌が同じ恋歌一にある。歌の内容は似通っていてどちらもあまり面白味がないが、二つを合わせてみると、おいしい水で作ったイチゴ・シロップのかき氷のようでもある。

 
495   
   思ひいづる  ときはの山の  岩つつじ    言はねば こそあれ  恋しきものを
     
        「清水」を詠った歌には次のようなものがある。 「清し」という言葉を使った歌の一覧については 925番の歌のページを参照。

 
     
537番    あふ坂の 関に流るる  岩清水  読人知らず
887番    いにしへの 野中の清水  ぬるけれど  読人知らず
1004番    君が代に あふ坂山の  岩清水  壬生忠岑
1079番    我が門の いたゐの清水  里遠み  読人知らず


 
        「こそすれ」という言葉を使った歌の一覧は 1029番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/28 )   
(改 2004/03/12 )   
 
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