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       題しらず 小野小町  
553   
   うたたねに  恋しき人を  見てしより  夢てふものは  たのみそめてき
          
     
  • うたたね ・・・ 仮寝
  
うたた寝をした時に恋しい人を見てからは、「夢」というものを頼みにするようになった、という歌。

  何の期待もしていなかった時に、恋しい相手が夢に出てきたため、それまで何とも思っていなかった 「夢」というものを相手に逢える手段として好ましく思い、また見たいと思うようになった、という 「幼い」感じで詠んだ歌である。

  この歌は、恋歌二のはじめに置かれた小町の三つの歌の二番目であり、次の二つの歌に挟まれている。これらは出来事の順に並べられているものではなく、「夢と恋」というテーマの三様というかたちで置かれていると思われる。

 
552   
   思ひつつ  寝ればや人の  見えつらむ  夢と知りせば   覚めざらましを
     
554   
   いとせめて  恋しき時は   むばたまの  夜の衣を  返してぞきる
     
        "夢てふもの" の 「〜てふ」という表現を持った歌の一覧は 36番の歌のページを参照。 「たのむ」という言葉が使われている歌の一覧については 613番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/29 )   
(改 2004/02/18 )   
 
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