Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻十三

       題しらず 読人知らず  
659   
   思へども  人目つつみの  高ければ  川と見ながら  えこそ渡らね
          
     
  • つつみ ・・・ 堤防・土手
  
恋しい気持ちはあるのだが、人目が邪魔をして、あちらにいるのがわかりながらも逢いに行くことができない、という歌。 「堤(つつみ)」と「慎み(つつみ)」(=遠慮)とを掛けており、"川と見ながら" という部分の「川」には「彼は」(there)が掛けている。 「川を渡る」ということで二人が結ばれるということを表わす表現は、629番の御春有輔の「竜田川 渡らでやまむ ものならなくに」の歌や 
749番の藤原兼輔の「音羽川 渡るとなしに 見なれそめけむ」の歌などでも使われている。

  また、人目が気になって逢いに行くことができないということは、次の「あふひ、かつら」を詠み込んだ物名の歌でも詠われている。

 
434   
   人目ゆゑ   のちにあふ日の  はるけくは  我がつらきにや  思ひなされむ
     
        「思へども」という言葉を使った歌の一覧は 373番の歌のページを参照。

 
( 2001/10/23 )   
(改 2004/02/17 )   
 
前歌    戻る    次歌