題しらず | 読人知らず | |||
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歌の内容は、人からの中傷が何度繰り返されても、二人の関係を断ってしまおうとは思わないでください、ということ。< 「夏引きの手引きの糸」までが 「繰る(くる:=たぐる)」を導くための序詞で、それを 「繰り返し」につなげている。 「絶つ」も 「糸」の縁語である。 「夏引きの手引き」とは、麻を引き抜いて、その皮から糸を手で引き出すことといわれている。蚕の繭から糸を引き出すことという説もある。契沖は「古今余材抄」で「夏引の手引の糸とは麻の事也顕注は誤なり万葉に夏麻引とよめり」と 「麻」とし、賀茂真淵はこれに対し「古今和歌集打聴」で 「一般に万葉に夏麻ひくとよめれば麻の事也と云説もあれどかひ子も夏引ば糸といひくりかへしと云によりて蚕の糸と云方よきに似たり」と 「蚕」の方がいいように思われると述べている。現在でも 「麻」の方が通説となっているようである。 ちなみに万葉集での 「夏麻引く(なつそひく/なつそびく)」は次のような歌に見られ、糸を 「績む(うむ:=つむぐ)」から 「海上(うなかみ)/宇奈比(うなひ)」の枕詞として使われている。 [巻七・1176] 夏麻引く 海上潟(うなかみがた)の 沖つ洲に 鳥はすだけど 君は音もせず [巻十三・3255] ...そを知らむ よしのなければ 夏麻引く 命かたまけ 刈り薦(こも)の... [巻十四・3348] 夏麻引く 海上潟(うなかみがた)の 沖つ洲に 船は止めむ さ夜更けにけり [巻十四・3381] 夏麻引く 宇奈比(うなひ)をさして 飛ぶ鳥の 至らむとぞよ 我が下延(したは) へし また、本居宣長が「古今和歌集遠鏡」で 「くりかへしとは長くつゞきて。たえきれざる意にいへる也。」として、「イツマデモワタシヲ絶ウトハ 思召テ下サリマスナ」と訳しているように、「くりかへし」を 「絶えむと思ふな」に掛かると見る説もあるが、「古今和歌集全評釈 補訂版 」 (1987 竹岡正夫 右文書院 ISBN 4-8421-9605-X) で述べられているように、やはりこの歌では 「ことしげくとも」に掛かっていると見た方が自然であるように思われる。 「言しげし」という歌の一覧については 550番の歌のページを参照。 「糸」の歌としては、秋歌上に次のような躬恒の 「七夕の糸」の歌が思い出される。 |
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( 2001/09/25 ) (改 2004/02/25 ) |
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