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       いとこなりける男によそへて人のいひければ 久曽  
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   よそながら  我が身に糸の  よると言へば  ただいつはりに  すぐばかりなり
          
     
  • よそ ・・・ 遠い場所
  詞書は 「従兄弟(いとこ)である男といい仲だと、人がはやし立てたので」ということ。久曽(くそ)は生没年および仔細不明。古今和歌集に採られている歌はこの一首のみ。

  
まったく見当外れな話で、私の身に 「いと(こ)」が寄る(縒る)と噂されていますが、ただの誤解にしか過ぎませんよ、という歌。

  「糸/縒る/針/挿(す)ぐ」という縁語を散らした誹諧歌である。詞書にある 「よそへて」という言葉は、654番の読人知らずの恋歌でも「誰によそへて 藤衣着む」と使われている。初句の "よそながら" は、その 「よそ」という音に合わせているとも考えられる。 「よそ」という言葉を使った歌の一覧は 37番の歌のページを参照。 「〜と言へば」という表現を使った歌の一覧は 635番の歌のページを参照。また、「いつはり」は 「一つ(いつ)針」のようにも見える。 「いつはり」という言葉を使った歌の一覧については 576番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/05 )   
(改 2004/03/10 )   
 
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