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- 木のもと ・・・ 木の下 (このもと)
- ふし染め ・・・ ヌルデの木から採った五倍子(ふし)で薄墨色に染めること
世を捨てて木々の元に立ち寄り、うつむく我が身が着るものは 「うつぶし染め」の麻の衣である、という歌。 "うつぶし染め" に「うつぶす」(=顔を下に向ける)という言葉を掛けている。 「空五倍子染め(うつぶしぞめ)」で一つの言葉なのか、「五倍子染め(ふしぞめ)」の 「ふす」から思いついて、「うつぶす」としたものなのかは不明。
"木のもとごと" の「ごと」が少し気になるが、夜露をしのぐために木の下を求めて彷徨い歩くというイメージか。薄墨色の "麻の衣" ということから僧侶の姿のイメージがあり、「樹下石上(じゅげせきじょう)」という仏教の修行の姿を、やわらかく言った歌なのであろう。
僧ということでは、292番の僧正遍照の「わび人の わきて立ち寄る 木のもとは」という歌が連想されるが、どちらかというと966番の宮道潔興(みやじのきよき)の「つくばねの 木のもとごとに 立ちぞ寄る」という歌と、832番の上野岑雄(かむつけのみねお)の「今年ばかりは 墨染めに咲け」という哀傷歌をミックスしたような感じのように思える。
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