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詞書の 「おほなほび」とは 「大直毘神(おほなほびのかみ)」のことで、古事記でイザナギが黄泉の国から戻って禊をした際に 「神直毘神(かむなほびのかみ)」の次に生れた神の一つで、穢れを払って元の状態に戻す神。
歌の内容は、新しい年のはじめにあたって、このように、千歳を目指し、楽しきことを重ねる、ということ。 "つめ" は、「こそ」からの係り結びで 「積む」の已然形。この歌の左注には 「日本紀には、つかへまつらめよろづよまでに」とあり、それは 「続日本紀」の聖武天皇・天平十四年正月十六日のところに 「新年始尓何久志社仕奉良米万代麻弖丹(アタラシキ トシノハジメニ カクシコソ ツカヘマツラメ ヨロヅヨマデニ)」とあることを指していると言われている。
"かくしこそ" は「かくこそ」に強調の副助詞「し」が入ったもの。 "かねて" は「予ねて」で、この言葉が使われている歌の一覧は 253番の歌のページを参照。
"楽しきをつめ" は、「楽しき+終(を)へめ」(=楽しいこと(祝宴)をやり尽くそう)の誤記であろうという説が、契沖「古今余材抄」で出されている。「古今和歌集全評釈(下)」 (1998 片桐洋一 講談社 ISBN4-06-208753-7) によれば、伝本の中でも寛親本には 「タノシキヲヘメ」となっているそうである。確かに 「終」という意味をここに持たせれば 「新しき−楽しき」/「始−終」というバランスがとれるようにも見えるが、逆に古い歌ということを考えると、それでは整い過ぎているような気がしないでもない。
この歌から 1073番の「しはつ山ぶり」の歌までの五首が「大歌所御歌」とされている。
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