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       ふるき大和舞のうた 読人知らず  
1070   
   しもとゆふ  かづらき山に  降る雪の  間なく時なく  思ほゆるかな
          
     
  • しもとゆふ ・・・ 細い枝を束ねる (細枝結ふ)
  • 思ほゆ ・・・ 思われる
  詞書にある「大和舞」(倭舞)は大嘗祭や鎮魂祭で舞われる舞いの一つ。

  
細枝を束ねる葛(かづら:=つる草)という名の葛城山に降る雪のように、絶え間なくあなたのことが思われます、という歌。 "かづらき山" は現在の奈良県御所(ごせ)市大字櫛羅(くじら)にある葛城山や、奈良県御所(ごせ)市大字高天(たかま)の金剛山あたりの山地。

  葛が長く伸びるイメージと、絶え間なく雪が降ることを合わせている。冷たい美しさが感じられる歌である。長く生えるつる草を詠った歌としては、709番 と762番に「玉かづら」の歌があり、1077番には「まさきのかづら 色づきにけり」という 「山−霰(あられ)−葛」を詠った「採り物の歌」がある。

「思ほゆ」という言葉を使った歌の一覧は 33番の歌のページを参照。

 
( 2001/12/03 )   
(改 2004/02/20 )   
 
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