近江ぶり | 読人知らず | |||
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近江を朝発ち、旅行けば、「うねの野」に鶴が鳴く声が聞こえる、この夜はもうすっかり明けたのだ、という歌。 "うねの野" は現在の滋賀県近江八幡市あたり。まだ近江の範疇である。近江から奈良か京への都へ向かう時の歌であろう。 "鳴くなる" の 「なる」は、前に活用語の終止形をとる伝聞推量の助動詞「なり」の連体形。聞いて、なるほどと思う、というニュアンスを表す。 「鳴くなる」という言葉が使われている歌には次のようなものがある。 |
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「鶴」を詠った歌の一覧は 919番の歌のページを参照。 "明けぬこの夜は" の 「ぬ」は一見、打消しの助動詞「ず」の連体形のようにも見えるが、それでは "朝立ちくれば" と意味が合わない。ここでの 「ぬ」は完了の助動詞「ぬ」の終止形で、「この夜は−明けぬ」を倒置したもの。この 「明けぬ」は、次の躬恒の誹諧歌でも使われているが、638番の藤原国経の歌や 639番の藤原敏行の歌の 「明けぬとて」や、1087番の 「みちのくうた」の 「明けぬとも」のように 「ぬ」という終止形で終わっている場合、まぎらわしく感じる。 |
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( 2001/10/04 ) (改 2004/02/23 ) |
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