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       題しらず 読人知らず  
121   
   今もかも  咲き匂ふらむ  橘の  こじまのさきの  山吹の花
          
        "今もかも" は 「今も」に疑問「か」と詠嘆「も」の助詞がついているかたちで、歌の内容は、今も美しく咲いているのだろうか、橘の小島の崎の山吹の花は、ということ。 "橘のこじまのさき" は 「橘の小島」の崎であり、「橘の小島」は場所は不明だが、宇治川の島か、とされている。

  "咲き匂ふ" の「匂ふ」は、「色が匂う(=鮮やかである)」という意味であり、その 「匂ふ」から、香りのよい 「橘」という言葉につなげている。 「橘」と 「山吹」がぶつかり合っているが、途中まで「橘」と思わせて後半 「山吹」に転じる感じは面白い。言葉の勢いもある歌である。 「匂ふ」という言葉を使った歌の一覧は 15番の歌のページを参照。

  地名+「山吹」という歌としては、次の読人知らずの歌もある。

 
125   
   かはづなく  ゐでの山吹    散りにけり   花のさかりに  あはましものを
     
        「かも」という係助詞を使った歌の一覧については 664番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/12 )   
(改 2004/01/13 )   
 
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