寛平の御時きさいの宮の歌合せのうた | 在原棟梁 | |||
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在原棟梁(むねやな)は、生年は不詳で898年没。在原業平の長男。885年従五位下、897年従五位上。古今和歌集にはこの歌を含めて四首採られている。 立春になったが、花も咲きそろわない山里では、ものうげな音色でウグイスが鳴いている、という歌。 6番や 15番の歌と同じく 「春−花−鶯」という春の言葉のセットを含んでいて、そこに 「山里」という場を提示することにより、三者のバランスの 「崩れ」を詠っている。 |
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物名の歌であるが、山里の花ということで次の紀利貞(としさだ)の歌と合わせて見たい。 |
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また、この歌で春のはじめに山里で 「物憂く」鳴いていたウグイスは、春の終わりに再び 「物憂く」なると次の貫之の歌で詠われている。 |
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"花も匂はぬ" の 「匂ふ」は 「美しく咲く」という視覚的なことなのか、「ウグイス−梅−香り」ということで嗅覚的な 「匂う」ことなのか、どちらでも意味が通るので微妙であるが、言葉のかたちからは視覚的なものであろう。古今和歌集の中で 「匂ふ/匂ひ」という言葉が使われている歌を一覧してみると次の通り。 |
[匂ふ:嗅覚] | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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[匂ふ:視覚] | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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[匂ふ:嗅覚および視覚] | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「音に鳴く」という表現を持つ歌の一覧は 150番の歌のページを参照。 |
( 2001/11/19 ) (改 2004/01/18 ) |
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