寛平の御時きさいの宮の歌合せのうた | 紀友則 | |||
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歌の背景には、物思いにふけっているこの家の灯りだけがついている、という状況があるように思える。一つ前の 153番の歌ではホトトギスが五月雨の中を飛び去ってゆくイメージを詠っているが、夜中に家にいてその声を聞くという点では共通している。 また、 "我が宿をしも" という表現には、こんな何の取り柄のない我が家の庭でも、というニュアンスがありそうである。実景かどうかはともかく、友則が 「我が宿」と詠んだものに、442番の物名の歌や 564番の恋歌があり、同じ庭だと想像して見るのも面白いかもしれない。 |
( 2001/12/11 ) (改 2004/03/11 ) |
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