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 46首  
   紀友則 きのとものり
 
 
   生年   不明    没年   不明
 父   紀有朋    母   ?

古今和歌集の撰者の一人。
仮名序では「大内記」とされている。

−− 年代考 −−
後撰和歌集・巻十五1077の藤原時平の歌の詞書を見ると、友則は四十歳過ぎまで無官であったということだが、それが 897年(寛平 九)の土佐掾になる前のこととすると、生れは850年代か。没年については 838番や 839番に友則の死を悼む歌があることから、少なくとも 920年頃までには亡くなっていたと思われる。
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巻一  0013  花の香を 風のたよりに たぐへてぞ うぐひすさそふ しるべにはやる  春歌上
巻一  0038  君ならで 誰にか見せむ 梅の花 色をも香をも 知る人ぞ知る  春歌上
巻一  0057  色も香も 同じ昔に さくらめど 年ふる人ぞ あらたまりける  春歌上
巻一  0060  み吉野の 山辺にさける 桜花 雪かとのみぞ あやまたれける  春歌上
巻二  0084  久方の 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ  春歌下
巻三  0142  音羽山 今朝越えくれば 郭公 梢はるかに 今ぞ鳴くなる  夏歌
巻三  0153  五月雨に 物思ひをれば 郭公 夜深く鳴きて いづち行くらむ  夏歌
巻三  0154  夜や暗き 道や惑へる 郭公 我が宿をしも すぎがてに鳴く  夏歌
巻四  0177  天の河 浅瀬しら浪 たどりつつ 渡りはてねば 明けぞしにける  秋歌上
巻四  0207  秋風に 初雁がねぞ 聞こゆなる たがたまづさを かけてきつらむ  秋歌上
巻五  0265  誰がための 錦なればか 秋霧の 佐保の山辺を 立ち隠すらむ  秋歌下
巻五  0270  露ながら 折りてかざさむ 菊の花 老いせぬ秋の 久しかるべく  秋歌下
巻五  0274  花見つつ 人待つ時は 白妙の 袖かとのみぞ あやまたれける  秋歌下
巻五  0275  ひともとと 思ひし菊を 大沢の 池の底にも 誰か植ゑけむ  秋歌下
巻六  0337  雪降れば 木ごとに花ぞ 咲きにける いづれを梅と わきて折らまし  冬歌
巻七  0359  めづらしき 声ならなくに 郭公 ここらの年を あかずもあるかな  賀歌
巻八  0405  下の帯の 道はかたがた 別るとも 行きめぐりても あはむとぞ思ふ  離別歌
巻十  0431  み吉野の 吉野の滝に 浮かびいづる 泡をかたまの 消ゆと見つらむ  物名
巻十  0437  白露を 玉にぬくとや ささがにの 花にも葉にも いとをみなへし  物名
巻十  0438  朝露を わけそほちつつ 花見むと 今ぞ野山を みなへしりぬる  物名
巻十  0440  秋ちかう 野はなりにけり 白露の おける草葉も 色かはりゆく  物名
巻十  0442  我が宿の 花ふみしだく とりうたむ 野はなければや ここにしもくる  物名
巻十二  0561  宵の間も はかなく見ゆる 夏虫に 惑ひまされる 恋もするかな  恋歌二
巻十二  0562  夕されば 蛍よりけに もゆれども 光見ねばや 人のつれなき  恋歌二
巻十二  0563  笹の葉に 置く霜よりも ひとり寝る 我が衣手ぞ さえまさりける  恋歌二
巻十二  0564  我が宿の 菊の垣根に 置く霜の 消えかへりてぞ 恋しかりける  恋歌二
巻十二  0565  川の瀬に なびく玉藻の み隠れて 人に知られぬ 恋もするかな  恋歌二
巻十二  0593  よひよひに 脱ぎて我が寝る かり衣 かけて思はぬ 時の間もなし  恋歌二
巻十二  0594  東ぢの 小夜の中山 なかなかに なにしか人を 思ひそめけむ  恋歌二
巻十二  0595  しきたへの 枕の下に 海はあれど 人をみるめは おひずぞありける  恋歌二
巻十二  0596  年をへて 消えぬ思ひは ありながら 夜の袂は なほこほりけり  恋歌二
巻十二  0607  ことにいでて 言はぬばかりぞ みなせ川 下にかよひて 恋しきものを  恋歌二
巻十二  0615  命やは なにぞは露の あだものを あふにしかへば 惜しからなくに  恋歌二
巻十三  0661  紅の 色にはいでじ 隠れ沼の 下にかよひて 恋は死ぬとも  恋歌三
巻十三  0667  下にのみ 恋ふれば苦し 玉の緒の 絶えて乱れむ 人なとがめそ  恋歌三
巻十三  0668  我が恋を しのびかねては あしひきの 山橘の 色にいでぬべし  恋歌三
巻十四  0684  春霞 たなびく山の 桜花 見れどもあかぬ 君にもあるかな  恋歌四
巻十四  0715  蝉の声 聞けばかなしな 夏衣 薄くや人の ならむと思へば  恋歌四
巻十五  0753  雲もなく なぎたる朝の 我なれや いとはれてのみ 世をばへぬらむ  恋歌五
巻十五  0787  秋風は 身をわけてしも 吹かなくに 人の心の 空になるらむ  恋歌五
巻十五  0792  水の泡の 消えてうき身と 言ひながら 流れてなほも たのまるるかな  恋歌五
巻十五  0827  浮きながら けぬる泡とも なりななむ 流れてとだに たのまれぬ身は  恋歌五
巻十六  0833  寝ても見ゆ 寝でも見えけり おほかたは 空蝉の世ぞ 夢にはありける  哀傷歌
巻十六  0854  ことならば 言の葉さへも 消えななむ 見れば涙の 滝まさりけり  哀傷歌
巻十七  0876  蝉の羽の 夜の衣は 薄けれど 移り香濃くも 匂ひぬるかな  雑歌上
巻十八  0991  ふるさとは 見しごともあらず 斧の柄の 朽ちしところぞ 恋しかりける  雑歌下

■ 詞書に名前が出てくる歌
巻十六  0838  明日知らぬ 我が身と思へど 暮れぬ間の 今日は人こそ かなしかりけれ  哀傷歌
巻十六  0839  時しもあれ 秋やは人の 別るべき あるを見るだに 恋しきものを  哀傷歌

   
 897年  寛平 九  一月 土佐掾
 898年  寛平 十  一月 少内記
 904年  延喜 四  一月 大内記