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       これさだのみこの家の歌合せによめる 壬生忠岑  
194   
   久方の  月の桂も  秋はなほ  もみぢすればや  照りまさるらむ
          
     
  • 月の桂 ・・・ 月の中にあると言われる桂の木(言い伝え)
  • なほ ・・・ やはり
  
月にある桂の木も秋になればやはり色づくためか、明るさを増しているようだ、という歌。 76番の素性の「花散らす 風の宿りは  誰か知る」という歌について、賀茂真淵「古今和歌集打聴」で言っている 「幼く詠めり」という言葉がこの忠岑の歌にもあてはまるような気がする。童心が悲しいとするならば、この歌は悲しい歌であり、その悲しさは一つ前の千里の歌から引き継がれたものである。

 
193   
   月見れば  ちぢにものこそ  かなしけれ   我が身ひとつの  秋にはあらねど
     
        そして、月の明るさを次の在原元方の歌につないでいる。

 
195   
   秋の夜の  月の光し  あかければ   くらぶの山も  越えぬべらなり
     
        「久方の」という枕詞を使った歌の一覧は 269番の歌のページを参照。

 
( 2001/07/05 )   
(改 2004/02/26 )   
 
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