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       題しらず 読人知らず  
200   
   君しのぶ  草にやつるる  ふるさとは  松虫の音ぞ  かなしかりける
          
     
  • やつるる ・・・ 見栄えがしなくなった
  • 松虫 ・・・ スズムシあるいはマツムシ
  
あなたを偲び、草に覆われ見る影もなくなった、かつての二人の思い出の場所では、松虫の音がただ悲しく聞こえます、という歌で、「しのぶ/草」の間には切れ目があるが、そこには 「しのぶ草」(=ノキシノブ)が掛けられており、「松虫」の 「まつ」には 「待つ」が掛けられている。恋歌にあってもおかしくない歌だが、この歌は秋歌上の「松虫」の歌群の先頭に置かれている。

  歌の意図はよく伝わるが、歌の姿としては 「しのぶ草」「ふるさと」「松虫」と言葉を詰め込みすぎで、それが "やつるる" で崩れそうになるところを、「松虫」にすがってなんとか持ち直しているような感じもする。 「まつ虫」を詠った歌の一覧については 203番の歌のページを参照。

  「しのぶ」という言葉を使った歌の一覧については 505番の歌のページを、「かなし」という言葉を使った歌の一覧については 578番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/01 )   
(改 200/03/07 )   
 
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