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貞登(さだののぼる)は仁明天皇の第十五皇子で、文徳天皇(第一皇子)、光考天皇(第三皇子)や雲林院親王と呼ばれた常康親王(第七皇子)の異母弟にあたる。生没年不詳。 867年従五位下、894年正五位下。古今和歌集に採られている歌はこの歌一首のみである。
歌の意味は、ただ忘れられ、ひとりで物思いにふけるこの私は、古い家の軒先のようなもので、そこにノキシノブが生えるように、あなたを偲ぶ思いが沸き起こってきます、ということ。
この歌の "ながめふる" には 113番の小野小町の「花の色は うつりにけりな」の歌と同様、「眺め−長雨」「経る−降る」が掛けられている。 「ながめ」という言葉を使った歌の一覧は、その 113番の歌のページを参照。
また "ふるや" は古い家屋ということで、それが 「軒の端(つま)−妻(夫)」と掛かるようになっているが、これが男の立場の歌なのか、女の立場の歌なのかは微妙なところであるが、古今和歌集の配列での前後の歌を見ると、女の立場での歌に見える。 "人をしのぶの 草ぞおひける"は 「しのぶ草」を指しており、古い家の屋根にノキシノブ(ウラボシ科のシダ植物)が生えることを 「人を偲ぶ」に合わせている。 「しのぶ草」を詠んだ歌としては次の読人知らずの歌などがある。 「しのぶ」という言葉を使った歌の一覧については 505番の歌のページを参照。
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