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       題しらず 読人知らず  
199   
   秋の夜は  露こそことに  寒からし  草むらごとに  虫のわぶれば
          
     
  • わぶ ・・・ 嘆く
  
秋の夜は露が特に寒いらしい、草むらごとに虫が嘆いているのを見ると、という歌。 "秋の夜は" 
という部分で、夏にも露は置くけれど、という含みを持たせ、露の冷さから虫の音の激しさへと展開している。変化があって面白い歌である。

  また "草むらごとに" と言うことで、ただ一箇所ではなく、あちらでもこちらでもという雰囲気を出して 「わぶ(侘ぶ)」という擬人化を効果的に見せている。その擬人化からは 188番の「秋くる宵は 露けかりけり」という読人知らずの歌も連想される。さらにその嘆きの合唱が朝まで続くと見れば、次の藤原敏行につながる。 「わぶ」という言葉を使った歌の一覧は 937番の歌のページを参照。

 
197   
   秋の夜の   明くるも知らず  鳴く虫は  我がごとものや  かなしかるらむ
     
        そしてこの歌の "露こそことに" というフレーズからは、214番の「山里は 秋こそことに わびしけれ」という忠岑の歌が思い起こされる。

 
( 2001/08/21 )   
(改 2004/02/23 )   
 
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