むかしあひ知りて侍りける人の、秋の野にあひてものがたりしけるついでによめる | 凡河内躬恒 | |||
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詞書にある「むかしあひ知りて侍りける人」は昔の恋人ということで、「秋の野にあひて」というのが少しひっかかるが、貫之の 404番の「志賀の山越えにて、石井のもとにてものいひける人」のような例もあるので、そういうこともあったのだろう。 萩の古い枝に今、花が咲いているのを見ると、昔の思いがまだ忘れずにあり続けていることがわかった、という歌。詞書からして明らかに恋歌の分類に入ると思われるが、秋萩に託した恋の気持ちを逆に恋の気持ちを濃厚に込めた萩の歌として作者の躬恒を含む撰者たちはこの歌を秋歌上に置いたものであろうか。 ちなみに恋歌に置かれている萩の歌の数は少ない。恋歌四の 694番の読人知らずの「宮城野の もとあらの小萩」という歌と、恋歌五の 781番の雲林院親王の「吹きまよふ 野風を寒み 秋萩の」という歌の二つだけである。 「萩」を詠った歌の一覧は 198番の歌のページを参照。 「もとの心」という言葉を使った歌の一覧については、651番の歌のページを参照。 |
( 2001/10/30 ) (改 2004/01/19 ) |
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