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       題しらず 読人知らず  
333   
   消ぬがうへに  またも降りしけ  春霞  立ちなばみ雪  まれにこそ見め
          
     
  • み雪 ・・・ 雪の歌語
  
消えない上にさらに降り敷いてほしい、春霞が立てば雪を見るのは稀になるだろうから、という歌。"降りしけ" に続いて "春霞" と出して、「雪」を予想していた人を一瞬驚かせるような歌である。この歌の 「降りしく」は "消ぬがうへに" と前にあるので、「降り頻く」よりも 「降り敷く」の方が自然か。 "またも" という言葉もあるので微妙なところではあるが。

  春を待つ心の逆を行っている歌だが、全体を反語と見るよりも、そのまま雪の白さを愛でる気持ちと見ておきたい。 "消ぬがうへに" と言っているので、まだ雪は消える様子がないのであろう。バニラアイスの二段重ねという感じか。言葉上は 「降る」という下降に対して 「立つ」という上昇を合わせているようにも見える。

  "み雪" という言葉が使われている他の歌には、次の二つの読人知らずの歌があり、それらはどちらも 「吉野の山」と一緒に出てくる。

 
317   
   夕されば  衣手寒し  み吉野の  吉野の山に    み雪 降るらし
     
321   
   ふるさとは  吉野の山し   近ければ  ひと日も み雪   降らぬ日はなし
     
        「春霞」を詠った歌の一覧は 210番の歌のページを参照。

 
( 2001/10/16 )   
(改 2004/02/26 )   
 
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