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古今和歌集の部屋
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巻六
題しらず
読人知らず
317
夕されば 衣手寒し み吉野の 吉野の山に み雪降るらし
夕されば ・・・ 夕方になると
衣手 ・・・ 袖
み雪 ・・・ 雪の歌語
夕方になると袖のあたりがしんしんと寒い、吉野の山では雪が降っているのだろう
、という歌。同じ「み吉野の 吉野の山」という言葉を使った
3番
の歌と見比べてみると、"み雪" の 「み」の効果が感じられる。また、この歌は 「衣手の寒さ」という点で「我が衣手ぞ さえまさりける」という
563番
の友則の歌とつながり、その友則の歌は 「置く露」ということで「我が袖に 秋の露さへ 置きそはりつつ」という
545番
の読人知らずの歌につながり、さらにその読人知らずの歌は 「夕されば」という詠い出しでこの歌に戻ってくるという、歌のトライアングルとして見ると面白い。
「夕されば」という言葉を使った歌の一覧は次の通り。
1008番
の旋頭歌には 「春されば」という表現もある。
317番
夕されば
衣手寒し み吉野の
読人知らず
545番
夕されば
いとどひがたき 我が袖に
読人知らず
562番
夕されば
蛍よりけに もゆれども
紀友則
815番
夕されば
人なき床を うちはらひ
読人知らず
「降るらし」という言葉を使った歌の一覧については
1077番
の歌のページを参照。
( 2001/10/16 )
(改 2004/02/22 )
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