かむなりのつぼにめしたりける日、大御酒などたうべて雨のいたく降りければ、夕さりまで侍りてまかりいでけるをりに、盃をとりて | 紀貫之 | |||
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詞書は「雷鳴の壺(=襲芳舎)に召された日、御酒などをいただいている間、雨がひどく降っていたので、夕方まで待って退出する際に、盃を取って」詠んだ歌、ということ。最後が 「盃をとりて」と中途半端で終わっている。この歌は続く 398番の歌に返しがあり、 "君" とは、兼覧王(かねみのおおきみ)のことだとわかる。 秋萩の花を雨に濡らすのも惜しいことですが、それに増して惜しいことはあなたとお別れすることです、という歌。 "をば" が二回繰り返されて、ある種のリズムを作っていると言えないこともない。また、雨が上がってしまえばもうお別れしなくてはならない、と言っているとも考えられる。 詞書に 「雷鳴の壺」で詠まれたと記述がある歌としては、他に次の躬恒の歌がある。時間は夜であるが、この歌も季節は秋である。 |
190 |
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「(秋)萩」を詠った歌の一覧は 198番の歌のページを参照。また、「〜をば〜こそ」というかたちを持った歌の一覧は 278番の歌のページを参照。 |
( 2001/10/10 ) (改 2004/03/09 ) |
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