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       題しらず 読人知らず  
400   
   あかずして  別るる袖の  白玉を  君が形見と  つつみてぞ行く
          
     
  • あかずして ・・・ 満足できずに
  • 白玉 ・・・ 真珠、宝石
  涙を「袖の白玉」と見るものとしては、安倍清行が小野小町に送った 556番の「つつめども 袖にたまらぬ 白玉は」という歌がある。清行の歌が恋歌二に収められているのに対して、この歌は最後の 「行く」という言葉によって離別歌に置かれている。ただし、離別歌の配列の順で見てみると、この歌あたりから恋歌まじりの艶っぽい別れの歌になっているような気もする。

  歌の内容は、
名残惜しく別れる袖に光る白玉を君の形見として包んで行こう、ということ。 "君が形見" の涙とは、相手の涙なのか、自分の涙なのか微妙なところである。別れる二人が男女という前提ならば、抱き合って移った相手の涙と考えるのが自然だろう。ただ、相手の姿を映した白玉を大切に持ってゆくと見れば、自分の涙としてもおかしくはないような気もする。

  「あかずして」という言葉を使った歌については 396番の歌のページを参照。 「あかで」+「別れ(離れ)」+「形見」を使った歌としては、恋歌四に次の読人知らずの歌がある。

 
717   
   あかでこそ   思はむなかは  離れ なめ  そをだにのちの  忘れ形見に  
     
        「形見」という言葉を使った歌の一覧は 743番の歌のページを参照。

 
( 2001/09/05 )   
(改 2004/02/25 )   
 
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