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       題しらず 読人知らず  
717   
   あかでこそ  思はむなかは  離れなめ  そをだにのちの  忘れ形見に
          
     
  • あかでこそ ・・・ 満足しない状態でこそ
  • 離れなめ ・・・ 別れましょう
  
思い合っている同士の私たちは、お互い飽きる前に別れましょう、思いながら別れたことだけを後々恋の忘れ形見にして、という歌。 "そをだに" の 「そ」は 「其(そ)」で 「其れ(それ)」と同じ代名詞。 584番の躬恒の歌にある「稲葉のよと 言ふ人のなき」の 「そ」と同じである。 「だに」という言葉を使った歌の一覧については 48番の歌のページを参照。

  恋歌四には 「形見」を詠う歌がこの歌を含めて六首あるが、その中でこの歌と同じ 「形の無いもの」と形見を組み合わせた歌には、(実際は反語であるのだが)次の酒井人真(ひとざね)の 「大空」の歌がある。

 
743   
   大空は  恋しき人の  形見 かは  物思ふごとに  ながめらるらむ
     
        「形見」という言葉を使った歌の一覧は、その 743番の歌のページを参照。また、「あかで」という言葉を使った歌の一覧は 157番の歌のページを参照。

 
( 2001/12/05 )   
(改 2004/02/25 )   
 
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