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       かはたけ 景式王  
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   小夜ふけて  なかばたけゆく  久方の  月吹きかへせ  秋の山風
          
     
  • 小夜 ・・・ 夜の歌語
  • たけゆく ・・・ 終りに近づいてゆく (長けゆく)
  景式王(かげのりのおおきみ)は、生没年不詳。897年従四位下。惟条(これえだ)親王の子。惟条親王は惟喬親王の同母弟。古今和歌集にはこの歌を含め二首が採られている。

  「な
カハタケゆく」に題の 「かはたけ」が詠み込まれている。「かはたけ」は竹の一種で、マダケあるいはメダケかと言われている。

  歌の意味は、
夜が更けて、半ば終りに近づいているあの月を吹き返してくれ、秋の山風、ということ。 "秋" という一文字に少し色があるのが惜しい気もするが、普通は花などを散らす、いわば悪者の強風を "月吹きかへせ" と大きく使っているところに勇壮感がある。 394番の遍照の「山風に 桜吹きまき 乱れなむ」という歌も力強さがあるが、それよりも強引で、なおかつそれが 「かはたけ」という物名の歌であるというギャップが面白い。歌の中では 「竹」という言葉は出てこないが、あたかも 「竹取物語」の、かぐや姫を 「え戦ひ留めずなりぬる」後の歌のような感じにも見える。 「山風」を詠った歌の一覧は 394番の歌のページを参照。

  また、この歌は業平が惟喬親王の酒宴の席で詠った 884番の「山の端逃げて 入れずもあらなむ」という歌も思い出させる。

  「久方の」という枕詞を使った歌の一覧は 269番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/29 )   
(改 2004/03/11 )   
 
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