にがたけ | 在原滋春 | |||
451 |
|
「つゆをたのむニ カタケれば」という部分に 「にがたけ」の題が含まれている。 「にがたけ」はキノコの一種とも竹の一種とも言われていて、その実体は明らかではない。 歌の意味は、命の糧として露を頼むには、それはあまりにもはかないので、もの悲しげに鳴いている野辺の虫よ、ということ。似たような歌としては、秋歌上に次の読人知らずの歌がある。 |
199 |
|
|||
また、「命」と 「露」の歌としては、恋歌二に次のような友則の歌がある。 |
615 |
|
||||||
「にがたけ」という題から 「たのむにかたければ〜」と導くのは、さほど困難ではないように思える。ただ、そこから歌全体に達するまでにはまだ距離があり、うまく言葉を集めて姿を整えているという感じがする。続く 452番の景式王(かげのりのおおきみ)の 「かはたけ」の歌も 「たけ」つながりで秋を詠んだものであり、同じ場で詠まれたものかどうかわからないが、よいペアになっている。 "ものわびしらに" という言葉は文字通り、「もの侘しそうに」ということだが、「わびしら」という言葉を使った他の歌には、1067番の躬恒の「わびしらに ましらな鳴きそ」という歌がある。また、1047番の「さかしらに 夏は人まね」という歌の 「さかしらに」という言葉も 「賢し(さかし)」という形容詞に接尾語「ら」がついたもので、似たようなかたちをしている。 なお、「侘しい」という関係の言葉としては、「わぶ」「わびし」「わび人」「〜わぶ」のようなものもあり、それらについては以下のページを参照。 また、「たのむ」という言葉が使われている歌の一覧については 613番の歌のページを参照。 |
( 2001/10/31 ) (改 2004/03/14 ) |
前歌 戻る 次歌 |