これたかのみこのかりしけるともにまかりて、やどりにかへりて夜ひと夜酒をのみ、ものがたりをしけるに、十一日の月も隠れなむとしけるをりに、みこゑひてうちへ入りなむとしければよみ侍りける | 在原業平 | |||
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歌の意味は、 まだ物足りないのに早くも月がお隠れになるのか、山の端は逃げて隠れられないようにしてほしい、ということ。歌の内容は業平と惟喬親王との仲のよさを伝えているが、 "あかなくに" と呼びかけ、その姿を 「月が隠れる」と譬えるのは道化の歌である。良く言えば自由奔放、悪く言えば不敬。タロット・カードの 「愚者(The Fool)」のイメージに近い。 "山の端逃げて" という大振りさは、871番の「大原や をしほの山も 今日こそは」という歌や、294番の「ちはやぶる 神世もきかず 竜田川」という歌を思い出させる。 この歌は 53番 / 418番 / 419番の歌と共に伊勢物語の第八十二段にあり、第六十九段にある次の歌と共に、すでに古今和歌集の作成当時、物語化されていたものであろう。 |
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"あかなくに" で使われている逆接の 「なくに」については、19番の歌のページを参照。また、「あかず」という言葉を使った歌の一覧は 157番の歌のページを、「まだき」という言葉を使った歌の一覧は 763番の歌のページを参照。 |
( 2001/05/27 ) (改 2004/03/08 ) |
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