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       題しらず 読人知らず  
543   
   明けたてば  蝉のをりはへ  なきくらし  夜は蛍の  もえこそわたれ
          
     
  • 明けたてば ・・・ 夜が明ければ
  • をりはへ ・・・ ずっと
  
夜が明ければ明けたで蝉のように鳴いて(泣いて)暮れるまで過ごし、夜は夜で蛍のように思いが燃えつづています、という 「蝉」と 「蛍」を使った恋の歌だが、「をりはへ/なきくらし/わたれ」と時間が長いことを強調しすぎていてるため、読んでいて疲れる感じがする。

  "をりはへ" は 「折り延へ」で、ずっと時間を延ばしてという意味。次のような歌で使われている。

 
     
150番    あしひきの 山郭公  をりはへ  読人知らず
543番    明けたてば 蝉のをりはへ  なきくらし  読人知らず
995番    唐衣 たつたの山に  をりはへて鳴く  読人知らず


 
        「蛍」という言葉を使った歌には、恋歌二に次の友則の歌がある。

 
562   
   夕されば  蛍よりけに    もゆれども   光見ねばや  人のつれなき
     

( 2001/12/03 )   
(改 2004/02/23 )   
 
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