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       題しらず 読人知らず  
995   
   たがみそぎ  ゆふつけ鳥か  唐衣  たつたの山に  をりはへて鳴く
          
     
  • ゆふつけ鳥 ・・・ ニワトリ (木綿付け鳥)
  • をりはへて ・・・ ずっと
  
誰の禊のために木綿(ゆふ)をつけた鳥なのか、竜田の山にしきりと鳴いている、という歌。

  「たがみそぎ」と 「ゆふつけ鳥」のつなぎについては諸説あるが不明である。最後の 「鳴く」という感じからは、 "ゆふつけ鳥" を 「夕告げ鳥」と見て 「誰の禊を知らせようとするのか」ととった方が自然かもしれない。ただ、その直後に "唐衣" を持ってきて 「裁つ」から 「竜田山」を導いていることを考えれば、「木綿−唐衣」という線も考えられる。 「唐衣」を使った歌の一覧は 572番の歌のページを参照。竜田山を詠んだ歌の一覧は 108番の歌のページを、「をりはへ」という言葉を使った歌の一覧は 543番の歌のページを参照。

  「ゆふつけ鳥」は、この歌では竜田山と合わされているが、以下のように他の歌では 「あふ坂」と共に詠われている。

 
     
536番    あふ坂  ゆふつけ鳥も 我がごとく  読人知らず
634番    あふ坂  ゆふつけ鳥は 鳴かずもあらなむ  読人知らず
740番    あふ坂  ゆふつけ鳥に あらばこそ  閑院
995番    たがみそぎ  ゆふつけ鳥か 唐衣  読人知らず


 
        また、この歌は藤原定家が八代集からそれぞれ十首づつ選んで編んだ 「八代集秀逸」(「新編  国歌大観  第十巻 」 (1992 角川書店 ISBN 4-04-021102-2 C3592) )の古今和歌集の部の歌の一つとして採られており、定家がどこを評価していたのかは興味がある。その十首の一覧は 365番の歌のページを参照。

 
( 2001/12/05 )   
(改 2004/02/27 )   
 
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