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古今和歌集の部屋
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巻十四
題しらず
寵
742
山がつの かきほにはへる あをつづら 人はくれども ことづてもなし
山がつ ・・・ 山里に住む(身分の低い)人 (山賤)
かきほ ・・・ かきね (垣穂)
あをつづら ・・・ 青々した葛(=つる草)
「くる」をつる草を 「繰る(=たぐる)」と人が 「来る」に掛けて、
別件であの人はくるけれども、私への言づてはない
、という歌である。 "山がつ" と出していることから、 "人" を本人とは見ずに「使いの者」と考えることもできる。
"かきほ" (垣穂)の 「ほ」は、垣根の 「ね」が下を指しているのに対して、上の部分を表わしていると言われる。
564番
の友則の歌では「我が宿の 菊の垣根に 置く霜の」と 「根」の方が使われているが、あまり区別をする必要はないように思われる。 「山がつのかきほ」という幾分野暮な言葉を使った歌には、同じ恋歌四に次の読人知らずの歌もある。
695
あな恋し 今も見てしか
山がつの
かきほ
にさける 大和撫子
( 2001/09/27 )
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