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       題しらず 読人知らず  
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   植ゑていにし  秋田刈るまで  見え来ねば  今朝初雁の  音にぞなきぬる
          
     
  • いにし ・・・ 去っていった (往ぬ・去ぬ)
  
苗を植えて行った田を秋に刈る頃になってもずっと、あなたは姿を見せないので、今朝来た初雁のように、私は声に上げて泣きました、という歌。

  "いにし" は「いに+し」で、「往ぬ」の連用形+過去の助動詞「き」の連体形。次の "秋田" に掛かる。 「田」を自分の譬えとし、そこから 「秋−雁−音になく」と続けている。 "今朝初雁の" と言うことで、「これまで堪えていたけれど」というニュアンスを出しているものか。また、あなたは来ないけれども、初雁は来たという感じでもあるようだが、前半に対しての後半がどうも収まりが悪いように感じる歌である。

  「初雁」を詠った歌の一覧は 735番の歌のページを、「音に鳴く」という表現を持つ歌の一覧については 150番の歌のページを参照。

 
( 2001/12/05 )   
(改 2004/02/24 )   
 
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