題しらず | 読人知らず | |||
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「そよぐ」は揺れて音を立てることで、秋風を聴覚で表現すると共に、それほどまでに成長した稲ということが暗示されている 。「秋風が稲葉をそよがせる」ではなく 「稲葉がそよいで秋風が吹く」という言い方には 「稲葉」と 「秋風」の並列性が見えて面白い。いくつかの伝本では前の 「こそ」につられて 「秋風ぞふく」となっているようだが、稲葉と秋風のバランスの面からは、"秋風の吹く" と 「の」で流しておいた方が感じがよい。 「秋風」を詠った歌の一覧は 85番の歌のページを参照。 時の経過の道具立てとして稲の成長を使っている歌としては次のような恋歌がある。 |
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また、「稲葉/そよぐ」に関連した歌としては次のような躬恒の歌もある。 |
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ちなみに、"早苗とりしか" の 「しか」は過去の助動詞「き」の已然形であり、その前の「こそ」からの係り結びになっている。 「しか」は他に 1097番の 「かひうた」の「甲斐がねを さやにも見しか」のように願望の終助詞「しか」の場合や、 810番の歌の「絶えなましかば」のように、推量の助動詞「まし」の已然形である 「ましか」とまぎらわしい場合があるので、過去の助動詞「き」の已然形である 「しか」が使われている歌の例を一覧にしておく。 |
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( 2001/12/05 ) (改 2004/03/11 ) |
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