題しらず | 読人知らず | |||
878 |
|
この心を静めることができない、姥捨山に照る月を見ていると、という歌。 "をばすて山" は、現在の長野県埴科(はにしなぐん)郡戸倉町あたりにある 「冠着山(かむりきやま)」か、と言われている。大和物語の一五六段にある姥捨ての説話で有名。 "なぐさめかねつ" は 「なぐさめ+かね+つ」で、下二段活用の 「慰む」の連用形+接尾語「かぬ」の連用形+完了の助動詞「つ」の終止形。 この 「かぬ」が使われている歌の一覧は 491番の歌のページを参照。 "更級や" の 「や」は間投助詞で、「地名+や」というかたちを持つ歌の一覧は 871番の歌のページを参照。 ここに 「姥捨伝説」を見るかどうかは別として、この歌と並べると 193番の大江千里の「月見れば ちぢにものこそ かなしけれ」という歌が、どこか平坦な感じに見えてしまう。 この歌から九首、月の歌が続く。 |
( 2001/10/17 ) (改 2004/02/15 ) |
前歌 戻る 次歌 |