Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻十七

       題しらず 読人知らず  
877   
   遅くいづる  月にもあるかな  あしひきの  山のあなたも  惜しむべらなり
          
     
  • あなた ・・・ 向こう側
  
遅く出てくる月であることだ、きっと山の向こう側も月を惜しんでいるに違いない、という歌。この歌は 633番の貫之の「山より月の いでてこそくれ」という歌からの連想で、なかなか現れない恋人に対するイヤミのようにも思えるが、恋歌ではなく雑歌上に置かれている。 「彼方(あなた)」から見れば 「此方(こなた)」が 「彼方(あなた)」であり、次の読人知らずの歌は、この歌での 「山のあなた側」から詠われているような感じも受ける。

 
883   
   あかずして  月の隠るる  山もとは  あなた おもてぞ  恋しかりける
     
        また 「山のあなた」という言葉が使われている他の歌としては、雑歌下に次のような読人知らずの歌がある。 「あなた」という言葉を使った歌の一覧は 379番の歌のページを参照。

 
950   
   み吉野の  山のあなたに   宿もがな  世の憂き時の  隠れがにせむ
     
        「べらなり」という言葉が使われている歌の一覧は 23番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/14 )   
(改 2004/02/06 )   
 
前歌    戻る    次歌