題しらず | 読人知らず | |||
913 |
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「蓑(みの)」に掛けるために "雨衣" と出しており、枕詞となっている。 "雨衣" の 「雨」がインパクトが強いので、そこに雨があるようなないような不思議な感じである。その 「田蓑の島」を実際に雨の中で見た歌として、次の貫之の歌がある。この二つを並べてみると、今度は貫之の歌には鶴は出てこないにもかかわらず、そこに鶴が見えるような錯覚を覚える。 「鶴」を詠った歌の一覧については 919番の歌のページを参照。 |
918 |
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この 「田蓑の島の鶴」の歌は、単体で読むと 「田蓑の島」の上空を鶴が飛んで行くようなイメージでもあるが、万葉集・巻六919の山部赤人の 若の浦に 潮満ち来れば 潟を無み 葦辺をさして 鶴鳴き渡る という歌と並べてみると、満潮になって居場所が無くなった鶴が 「島」に移動している歌らしい、ということがわかる。ちなみに 「若の浦」は 「和歌の浦」で、その点で、偶然かもしれないが、一つ前の 912番の歌の 「玉津島」と位置的につながる。 |
( 2001/12/11 ) (改 2004/02/12 ) |
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