難波へまかりける時、たみのの島にて雨にあひてよめる | 紀貫之 | |||
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詞書の意味は、「難波に行った時に田蓑の島で雨に降られて詠んだ」歌ということ。 雨が降ったので、田蓑の島を今日歩いてみたけれど、「蓑」というのは名ばかりで雨を防いではくれなかったよ、という歌。 "雨により" というのは、675番の読人知らずの「君により 我が名は花に 春霞」という歌の 「〜により」と同じニュアンスで、「雨のせいで」ということ。ここでは 「雨を避けようと」という感じか。 また 「名」を使った歌では、382番の躬恒の「きてもとまらぬ 名にこそありけれ」という歌のように 「名にこそありけれ」で終わる歌が五首あるが、この歌では例えば 「きても隠れぬ 名にこそありけれ」とはせずに、"名には隠れぬ ものにぞありける" としている点が興味深い。 「〜にぞありける」という表現を使った歌の一覧は 204番の歌のページを参照。 |
( 2001/12/11 ) (改 2004/02/03 ) |
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