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       題しらず 読人知らず  
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   世にふれば  憂さこそまされ  み吉野の  岩のかけ道  踏みならしてむ
          
     
  • かけ道 ・・・ 崖に掛けた道 (=懸け路:かけぢ)
  • 踏みならし ・・・ 踏みしめて
  
世の中に長く住んでいると、嫌なことが増してくるものだ、こんなことなら吉野の山の険しい岩の道を踏みしめて山に入ってしまおう、という歌。

  「世の憂さ」と険しい山道を精神的な苦痛と肉体的な苦痛として天秤にかけているような感じでもある。 "かけ道" は、崖の斜面に木材で造った道と言われている。ここでは「岩のかけ道」とあるので、ごつごつした岩の間を通って行くようなイメージであろう。 「踏みならす」と似た 「たちならす」という言葉が 439番の貫之の歌と 1094番の読人知らずの歌で使われている。 "世にふれば" の 
「経(ふ)」を使った歌の一覧については  596番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/26 )   
(改 2004/02/06 )   
 
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