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それ以外は、「浦」に 「恨み」を、「浮き布(め)」(=波に浮いている海藻)に 「憂き目」(=つらい状態)を掛けているのは、古今和歌集の他の歌でもよく見られる掛詞である。 「うきめ」という言葉を使った歌の一覧は 755番の歌のページを参照。
「ありしかば」は 「有り+しか+ば」で 「しか」は過去の助動詞「き」の已然形であり、「いたので」という意味。この 「しか」を使った歌の一覧は 172番の歌のページを参照。 "海人となりにき" の 「にき」は、完了の助動詞「ぬ」の連用形+過去の助動詞「き」がついたもので、他の歌で使われている例については 226番の歌のページを参照。
この歌には続く 974番の返しが付いており、そこで 「いづこをみつの 海人とかはなる」と 「みつ」を拾っていることから、「みつ」には 「見つ」と地名の 「三津」(あるいは御津)が掛けられているものと考えられる。
さらにこの歌には、「このうたは、ある人、昔男ありける女の、男とはずなりにければ、難波なる三津の寺にまかりて、尼になりて、よみて男につかはせりける、となむいへる」という左注が付いており、それに従えば 「海人」には 「尼」が掛けられているということになるが、詞書ではなく左注ということもあり、そこまで見るかどうかは微妙である。ちなみに 「三津の寺」は現在の大阪府大阪市中央区西心斎橋にある三津寺か、とされている。
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