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       題しらず 読人知らず  
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   津の国の  なには思はず  山しろの  とはにあひ見む  ことをのみこそ
          
        「津の国の難波/山城の国の鳥羽(とば)」という地名に 「何は/永久(とは)」を掛けた歌で、他のことは何も思わず、ただ永遠に逢っていたいと思うばかり、という意味である。

  「津の国の難波」は(難波宮を中心とすると)現在の大阪府大阪市中央区のあたり、「山城の国の鳥羽」は現在の京都府京都市伏見区鳥羽町あたりである。

  「とは」という音は 「音羽(をとは)」にも含まれているが、こちらは 「山科(やましな)の音羽」であり、664番の読人知らずの歌に「山しなの 音羽の山の 音にだに」と「音」の方が採られている。

  「津の国」という言葉を使った歌には他に、604番の貫之の「津の国の 難波の葦の 芽もはるに」と890番の読人知らずの「津の国の 長柄の橋と 我となりけり」という歌がある。 「あひ見る」という言葉を使った歌の一覧は 97番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/29 )   
(改 2004/01/23 )   
 
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