題しらず | 読人知らず | |||
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恋しくなった時には、それを見てでも偲ぼうと思うのだから、山おろしの風は紅葉を吹き散らすな、という歌。 何を "しのばむ" と言っているのかわかりづらいが、「紅葉の盛りの季節を」と見ておく。800番の歌に「花をばひとり 見てやしのばむ」という歌があり、その対象を恋人とする説(「古今和歌集全評釈 補訂版 」 (1987 竹岡正夫 右文書院 ISBN 4-8421-9605-X) )もある。 また、 "吹きな散らしそ" としている紅葉が、枝に残った紅葉なのか、既に落ちてしまっている紅葉なのかもわかりづらいが、「紅葉という存在を」と見て、両方を指していると見ておきたい。すべて吹き散らして冬に向けての大掃除をしようとする風に 「何でそんなことをするのだ」と言っているような感じか。 "恋しくは" は 「恋しくば」とも書かれ、古今和歌集の中では次のような歌で使われている。 |
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「しのぶ」という言葉を使った歌の一覧は 505番の歌のページを参照。 |
( 2001/12/06 ) (改 2004/03/09 ) |
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