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       題しらず 読人知らず  
1011   
   梅の花  見にこそきつれ  うぐひすの  ひとくひとくと  いとひしもをる
          
     
  • いとひし ・・・ 嫌がって (厭ひし)
  
梅の花を見にきたのに、そこにいるウグイスが 「人が来た、人が来た」と嫌がっている、という歌。お前を見にきたわけじゃない、という感じか。  "ひとくひとく" はウグイスの鳴き声を 「人来、人来」と合わせたもの。 「をる」はラ変の動詞「居り」の連体形。 「こそ」からの係り結びを受けている。

  この歌から誹諧歌(はいかいか)がはじまり、それは巻末の 1068番まで五十八首続く。誹諧歌というジャンルは一言で言えば 「品がない歌」の集まりであるが、他の部立ての中のものと厳密には区別がつきにくいものもある。

  この歌では 「梅にウグイス」という組み合わせを揶揄するようなかたちになっており、「梅の花」という言葉を使った誹諧歌としては次のような読人知らずの歌もある。

 
1066   
   梅の花   咲きてののちの  身なればや  すきものとのみ  人の言ふらむ
     
        鳥などが 「〜というように鳴いている」という歌の一覧は 1034番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/29 )   
(改 2004/02/17 )   
 
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