春の夜、梅の花をよめる | 凡河内躬恒 | |||
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また、この歌は 39番の貫之の「梅の花 匂ふ春べは くらぶ山」の歌と次の躬恒自身の歌に続けて置かれており、これら三つはいずれも夜の梅の香りを詠っている。 |
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しかし、この二つの躬恒の歌を比べてみると、片方は月の光に紛れて白い梅の花が見えないと言い、もう一方は闇が隠して見えないと言っている。これに貫之の 「くらぶ山」を加えれば、闇→月→闇という配置になっている。月光と梅の花というのは幻想的であるが、それが再び闇に沈むことで、梅の香がさらに強調される効果を演出しているようにも見える。道具立ては 「くらぶ山」→「月夜」→「春の夜」とシンプルな方向に向かっている。 "あやなし" という言葉が持つ艶っぽさは、本来は 「春の夜の闇」に掛かっているが、それは同時に見えない梅の花の 「色」や、闇で隠し切れないその 「香」にまで波及している。歌の着想としては "春の夜の 闇はあやなし" というフレーズが浮かんだ時点で、全体のほとんどが決まったと言ってよいだろう。 また、この歌のメインは「梅の香」であるが、「あやなき闇」も大切な背景である。 「あやなし」という言葉を使った歌の一覧は 477番の歌のページを、「闇」という言葉を使った歌の一覧は 39番の歌のページを参照。 |
( 2001/08/10 ) (改 2004/02/10 ) |
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