題しらず | 読人知らず | |||
106 |
|
恨むなら、吹く風を鳴いて恨め、ホトトギスよ、この私は花に手さへふれただろうか、という歌。 "鳴きてうらみよ" という言葉からは、今は鳴いていない状況と見えるが、この歌は言葉の勢いで流しているので、そうしたことはあまり関係がないだろう。 「鳴いてXXX」という歌としては、離別歌の385番の藤原兼茂の歌に「もろともに なきてとどめよ きりぎりす」という歌がある。 「だに」という言葉を使った歌の一覧については 48番の歌のページを参照。また、「吹く風」を詠った歌の一覧については 99番の歌のページを参照。 同じ春歌下のすぐ近くには、この歌をより洗練させた感じの次の素性法師の歌がある。 |
109 |
|
|||||
この歌の場合、"我やは花に" の 「やは」は反語を表す。 「やは」は反語を表すものとして使われることが多いが、61番や 161番に出てくる 「やはせぬ」など、疑問と見た方が自然である場合もある。また 「やは」は 「や+は」という連語であるが、係助詞同士の連語の場合と終助詞同士の連語である場合があり、終助詞の連語の場合は詠嘆のニュアンスも含むことが多いとされている。 「やは」を使っている歌を一覧にしてみると次の通り。 |
|
( 2001/10/31 ) (改 2004/02/24 ) |
前歌 戻る 次歌 |