くらぶ山にてよめる | 紀貫之 | |||
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難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花 "くらぶ山 闇に越ゆれど" という部分には、暗いという名のくらぶの山をさらに実際の暗闇の中で越えても、という二重の畳みかけが見られ、それは "匂ふ" と先に言いながら、"しるくぞありける" と念をおしている表現とも対応している。 「匂ふ」という言葉を使った歌の一覧については 15番の歌のページを参照 「くらぶ山」が 「暗い」の掛詞として使われているかどうかは微妙だが、詞書に「くらぶ山にてよめる」と書かれているように、「くらぶ山」という言葉が歌を誘発したことは確かである。このように一つの言葉が歌の水面から少し浮き上がって揺れているような感じは、同じ貫之の有名な次の歌にも感じられる。 |
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また、「くらぶ山」は 195番の在原元方の「秋の夜の 月の光し あかければ」の歌や、次の藤原敏行の歌でも 「暗い」というイメージを出すために使われている。 |
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しかし一方でこうした 「くらぶ山」のイメージを駄洒落によって突破している歌があって、こうしたところに当時の歌人たちは掛詞の可能性を見ていたようにも思われる。その歌とは次の坂上是則の恋歌である。 |
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貫之の歌と作成時期の前後はわからないが、 「梅の花」に対する 「桜花」であるところも面白い。 この歌で使われている 「くらぶ山」と 「闇」という言葉を含む歌を一覧してみると次のようになる。どちらも意外と使われている数は少ない。 |
[くらぶ山] | ||||||||||||||||||||
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[闇] | ||||||||||||||||||||
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( 2001/09/04 ) (改 2004/03/07 ) |
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