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       題しらず 読人知らず  
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   花のごと  世のつねならば  すぐしてし  昔はまたも  かへりきなまし
          
        花のように一年経てば再び咲くことが世のすべての慣わしだとしたら、過ぎ去った昔もまたかえってくるだろうに、という歌。

  "かへりきなまし" の 「まし」は反実仮想の助動詞で 「そんなことはないだろうが」というニュアンスをあらわす。それを落胆ととるか、「そうだったらいいのに」という淡い空想ととるかは読み方次第であるが、いずれにせよ、747番の業平の「月やあらぬ 春や昔の 春ならぬ」という身に張り付くような厳しい歌と比べると、ゆるりとした感じの歌である。

  「すぐす」という言葉を使った歌の一覧は 612番の歌のページを、「〜なまし」というかたちを持った歌の一覧は 63番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/26 )   
(改 2004/03/07 )   
 
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