Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻五

       題しらず 読人知らず  
252   
   霧立ちて  雁ぞ鳴くなる  片岡の  朝の原は  もみぢしぬらむ
          
        "片岡" は現在の奈良県北葛城郡王寺町の明神山あたりか。 「朝(あした)の原」は地名のように思われるが不明。歌の意味は、霧が立ち雁の鳴く声が聞こえてくる、片岡の朝の原では紅葉が始まっているのだろう、ということ。

  こちらでは 「霧に雁」、あちらでは 「朝の原に紅葉」という対比を、「朝霧」のイメージを暗示させながらうまくつなげている。また、この歌は 218番の藤原敏行の「尾上の鹿は 今や鳴くらむ」という歌と並べて見ると、「鳴く」の位置の違いが面白い。 「鳴くなる」という言葉を使った歌の一覧は 1071番の歌のページを参照。

  「霧にもみぢ」という組み合わせは他に、266番の読人知らずの「秋霧は 今朝はな立ちそ」という歌や、361番の「千鳥鳴く 佐保の河霧 立ちぬらし」という忠岑の歌がある。

 
( 2001/12/07 )   
(改 2004/02/20 )   
 
前歌    戻る    次歌