すももの花 | 紀貫之 | |||
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「李(すもも)」と同じで、その花は白。歌の意味は、あと何日しか春がないので、ウグイスも物憂い様子で思いにふけっているようだ、ということ。言葉遣いに無理がなく、歌の姿は軽やかで、好感のもてる歌である。 "うぐひすも" の 「も」には、ウグイスでさえも、あの元気はどこへやら、鳴くこともやめて、という含みがある。声が聞こえないという点からは、161番の「郭公 声も聞こえず 山彦は」という躬恒のホトトギスの歌を思い出させる。 426番の 「梅」の物名の歌と違って、「すももの花」と 「花」まで伸ばしている点が面白い。また 「李も桃も桃の内(すもももももももものうち)」と言うように、「すもも(李)の花」の中に 「もも(桃)の花」を入れた物名の二重構造とも考えられ、それは続く深養父の 「唐桃の花」の歌でも同じである。その際、「〜も、ものは〜」という部分を土台として、その前の 「すも」や 「からも」、後ろの 「ものはなXXX」にどう言葉をあてはめているかが見どころであろう。 |
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「いくか(幾日)」という言葉が使われている他の歌については 18番の歌のページを、「ながむ」という言葉を使った歌の一覧は 113番の歌のページを、「べらなり」という言葉を使った歌の一覧については 23番の歌のページを参照。 |
( 2001/06/20 ) (改 2004/03/07 ) |
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