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- のちまき ・・・ 遅く蒔く稲 (後蒔き)
- あだ ・・・ 移ろいやすい、無益な (徒)
「のチマキの」の部分に題がある。 「ちまき(粽)」は餅を笹などで包んで蒸したもの。端午の節句に食べる。この歌の着想は、その姿から稲を束ねる姿を連想したとも考えられる。
歌の意味は、後蒔きの遅れて成長する苗だけれども、無益なものではない 「田の実」であると聞いている、ということ。いきなり初句で題が終わってしまってあっけなさそうに見せて、「田の実−頼み」という掛詞つきの物名の歌、という趣向である。 「田の実−頼み」の掛詞は、822番の「秋風に あふたのみこそ かなしけれ」という小野小町の恋歌にも使われている。 「たのむ」という言葉を使った歌の一覧については 613番の歌のページを参照。
「の」で題が挟まれている所も面白いと言えば面白く、 "のちまきの おくれておふる 苗(なへ)なれど" と同じ音を重ねてリズムを出そうとしている。 "苗(なへ)" が 「稲(いね)」でないのは、意味上ということもあろうが、その点にも理由がありそうである。ただ、音としては 「苗なれど」という部分が少し重く、「稲なれど」の方が逆にさらっと読めるところが微妙なところである。
稲の生育の具合を春から秋にかけての時計の針ように捉えている歌としては、秋歌上に次の読人知らずの歌がある。
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