さくらの花のさかりに、ひさしくとはざりける人のきたりける時によみける | 読人知らず | |||
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この歌は続く 63番の業平の返しとペアになっている贈答歌である。それからすると "年にまれなる人" は業平であるが、詞書では「ひさしくとはざりける人」としている。一方、この贈答歌のある 「伊勢物語」第十七段では「年ごろ、をとづれざりける人の、桜のさかりに見に来たりければ」となっており、これを見ると、詞書が書かれた時点では「伊勢物語」(の原型)が存在していたように思われる。 この贈答歌は恋歌に分類されていてもおかしくないが、同じ 「あだと名の立つ」という表現のある小野美材の 229番のオミナエシの歌(「あやなくあだの 名をやたちなむ」)も秋歌上にあるので、バランスはとれている。ちなみにこの歌が春歌上の62番目、美材のオミナエシの歌が秋歌上の61番目と、ほぼ同じ位置にあるのは単なる偶然であろう。 「あだ」という言葉は次のような歌で使われている。 |
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( 2001/10/09 ) (改 2004/02/24 ) |
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