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       題しらず 読人知らず  
506   
   人知れぬ  思ひやなぞと  葦垣の  まぢかけれども  あふよしのなき
          
     
  • なぞ ・・・ どうして
  • 葦垣 ・・・ 葦で作った垣根 (あしかき)
  • よしのなき ・・・ 会う手だてがない
  
「それだけ思っているのに、相手に知られぬ思いだとは、どういうことか」と言うけれど、近くにいても逢う手だてがないのさ、という歌。歌の前半がわかりづらいが「人知れぬ思ひ+や+なぞ+と」ということ。 「なぞ」という言葉を使った歌の一覧 232番の歌のページを参照。また、「人知れぬ恋の思ひ」を詠った歌の一覧は 496番の歌のページを参照。

  「葦垣」は 「間近い」という言葉を導くためのもので、「垣根を隔てるほどの近さ」からも、「葦を組んだ時に隙間がないこと」からとも言われている。またそれ以外に 「葦−悪し」、「由し−良し」と合わせて、この 「悪し垣」があるものだから、逢う「由し」がない、という駄洒落であるような気もする。

  「垣根」を使ったもう少しシンプルな恋歌としては、恋歌二に次の友則の歌がある。

 
564   
   我が宿の  菊の垣根に   置く霜の  消えかへりてぞ  恋しかりける
     
        「よし(由)」という言葉を使った歌の一覧については 347番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/20 )   
(改 2004/03/08 )   
 
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